やまふじぶどう園の「おやつタイム」のこと【社長日記】
- ぶどう園
やまふじぶどう園の、10時と3時の「おやつタイム」
2018年に韓国で開催された平昌オリンピック。カーリング女子日本代表、ロコ・ソラーレが試合中にお菓子や果物を食べながら作戦会議をする「もぐもぐタイム」が大きな話題となりました。真剣勝負の中のちょっとした息抜きの時間は、選手たちの素顔が見えるようで、なんとも魅力的でしたよね。
それにあやかったわけではないけれど、やまふじぶどう園では10時と3時に「おやつタイム」があります。ぶどう園の作業は8時から17時。8時にはじめた作業を10時に一区切りして、夏場ならアイスを食べたり、きゅうりの浅漬けを食べたり。それで元気を回復してもう一仕事を終えたら、12時にお昼ごはん。午後は3時にまたおやつです。
“おやつ会場”はぶどう畑のど真ん中にあるテーブルです。冷たいスポーツドリンクに、カフェで淹れたてのホットコーヒー、紅茶。栽培担当のスタッフたちが、それぞれ好きなものを好きなように飲んだり食べたりします。最近は富山でも6月くらいから30度を超える日も珍しくありませんが、山の上にある私たちの園のぶどうの木の下は、たまに驚くほど涼しい風が吹き抜けます。
おやつタイムにヒントあり
ベテランスタッフの方が、「オレはアイスよりキュウリがいいな、この間の浅漬け、また作ってよ」なんてリクエストをしてくれることがあります。私はこういうところにもヒントがあるなと感じます。キュウリの1本漬けがカフェのメニューにあってもいいかな? とか、浅漬けに合うワインってなんだろう? といった具合。
ワインの味わいについてもそうです。甘いワインもおいしいけれど、キュウリの浅漬けのように甘味はないのに旨味は強く、飲めば飲むだけあとを引く……そんなワインを造るにはどうしたらいいだろう? なんて、おやつタイムからアイデアが生まれてきたりもするんです。
おやつタイムに集う人々
おやつタイムには様々な人が集まります。私の父である会長もいれば、私の息子世代の醸造・栽培チームの若手もいます。ここでは上下関係なし。もちろん強制参加なんてこともありません。ただ農作業で疲れたからお茶してるだけです。でも、東京から来た人には「経営者とスタッフが一緒にお茶する会なんて、東京の会社だったら“制度化”しないと無理ですよ」なんて言われてしまいました。
一緒に働いて、疲れたら一緒におやつを食べる。ロコ・ソラーレのもぐもぐタイムとやっていることは一緒です。もちろん、おやつを食べたい気分でなければ木陰で休憩してもいいし、音楽を聞いても、本を読んでもいい。自由です。ただ、仕事中に少しの間と頭と体を休ませる時間は、とても大切なんじゃないかなあと私は思います。ずーっと目を三角にして働いていたら、私は疲れちゃう(笑)。
明日も朝からぶどう畑の仕事があります。10時にはどんなおやつを食べようか。そんなことを考えるのもまた、楽しい時間です。
山藤智子(やまふじぶどう園社長)