ホーライサンワイナリー「イレーヌ・ブラン2019」テイスティングレポート
- ワイン
ワインブロガー・ヒマワインさんがホーライサンワイナリーの「イレーヌ・ブラン2019」をテイスティングレポート! 果たしてその味わいは?(以下、文章はヒマワインさん)
イレーヌ・ブラン2019はどんなワインか?
ホーライサンワイナリーは非常に少ない品種で非常に多くのワインを生み出す造り手だ。自社畑にあたる「やまふじぶどう園」に植えられているのは赤がマスカット・ベーリーAにメルロー。白はソーヴィニヨン・ブラン。
以前は古樹のカベルネ・フランが植わっていて素晴らしいワインを生み出していたが、残念ながら寿命を迎え、今は更新期を迎えている。他にも様々な品種が実験的に植えられてはいるものの、メインで使われているのは上記3品種だ。
というわけで、やまふじの白ワインのメイン品種は、自社畑ものに関してはソーヴィニヨン・ブランということになる。甲州やシャルドネは土地や気候にフィットせず、この品種が現時点ではベストなのだ。
以前テイスティングした「ほしあつめ」というワインもとてもおいしいソーヴィニヨン・ブランだったが、今回飲んだ「イレーヌ・ブラン 2019」はさらに驚きに満ちたワインだった。早速レポートしていきたい。
イレーヌ・ブラン2019をワインブロガーがテイスティング!
冒頭で、ホーライサンワイナリーは少ない品種から多様なワインを造り出すと書いたが、そのマトリクスを構成するのが「ステンレス」「樽」「ステンレス×オークチップ」の組み合わせ。この3種かける3つの主要品種、さらに品種をブレンドすることで、驚くほど多様な味わいを生み出している。
「ほしあつめ」はソーヴィニヨン・ブラン×ステンレスタンクの組み合わせ。そして「イレーヌ・ブラン」ソーヴィニヨン・ブラン×オーク樽の組み合わせということになる。ヴィンテージは2019。収穫から5年を経てようやくリリースされる、破格のキュヴェと言っていいと思う。
グラスに注いでみると、まず色がいい。わずかにオレンジみも感じるような、ひまわりの花弁のような色合い。グラスからは樽由来のバニラのような甘い香りと、それとは裏腹の和柑橘のようなフレッシュな酸を思わせる香りが漂ってくる。
飲んでみて驚かされるのは、このソーヴィニヨン・ブランがオーク樽の力強さににまったく負けていないということだ。飲んだ印象はまるでボルドー・ブランのよう。ボルドー・ブランでは主にセミヨンがふくよかさの部分を担う印象があるが、「イレーヌ・ブラン」はソーヴィニヨン・ブラン単一でこれだけのリッチさを表現しているのが出色だ。
最初の印象は樽のリッチさ。そのあとで富山県の夜の冷涼な空気をたっぷりと吸ったことが伝わるシャープな酸が追いかけてくる。余韻の部分に豊かな果実味があり、パイナップルやバナナのようなトロピカルな印象もある。日本にこんなソーヴィニヨン・ブランがあるのか……としばし呆然となるようなワインだ。
イレーヌ・ブラン2019はダンスしたくなるワイン
ちなみにイレーヌ・ブランは“架空の人名”で、このワインから想起されるイメージから名付けられている。ラベルにはダンスを踊る女性のイラストが描かれており、それがまたなんともワインの印象とリンクする。リッチな味わいなのだが、おごそかに飲むのではなく、ダンスしながら飲みたいような、飲んだらダンスしたくなるような、そんな軽快さと親しみやすさがある。
生産数270本という数に限りがあるワインで、本記事の公開時点(2024年8月21日)で残りは100本ほどだそう。ホーライサンワイナリー(やまふじぶどう園)のショップで購入可能だが、店頭には並ばない“裏メニュー”なのだそう。気になる方はぜひスタッフの方に「イレーヌ・ブラン、ありますか?」と聞いてみていただきたい。なんだかちょっと、ドキドキする入手の仕方!
写真と文:ヒマワイン
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