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「R359(サンゴク)2023」をワインブロガーがテイスティングレポート!

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ワインブロガー・ヒマワインさんによる「R359(サンゴク)2023」のテイスティングレポートが届きました! (以下、文章はヒマワインさん)

 

国道359号線と「R359(サンゴク)」

国道359号線は、富山県富山市から石川県金沢市に至る一般国道。1975年に制定されたというから、半世紀の歴史を誇る道ということになる。地元では359の数字のアタマをとって、“サンゴク”と呼ばれるこの道沿いに、1世紀に迫る歴史を持つ北陸最古のワイナリー、ホーライサンワイナリーはある。

ホーライサンワイナリーの設立年は1927年。この年は、実は日本ワインにとってもうひとつ歴史的な出来事があった年でもある。富山のお隣、新潟県の岩の原葡萄園で、“マスカット・ベーリーA”が開発された年なのだ。

 

話によれば、設立当時のホーライサンワイナリーは、どうやらこの当時最新の品種を、地理的な近さもあっていち早く導入していたようだ。

そして、多くのワインがこの道を通って出荷されていったであろう国道359号線の名前を冠し、地元で一番人気だという「R359(サンゴク)」というワインにも、この地で長く大切に育てられてきたマスカット・ベーリーAが使われているのは印象的だ。少し大袈裟にいえば、北陸ワイン史の結晶のようなワインと言ってもいいかもしれない。

樹齢40年以上の“超・古木”のマスカット・ベーリーAと、樹齢15年ほどのマスカット・ベーリーA。樹齢の異なるぶどうを絶妙にブレンドすることで、互いの個性を補い合い、おいしいワインができあがる。その在り方は、老若男女が力を合わせ、先祖代々歴史をつないできたやまふじぶどう園の在り方をどこか思わせる。

 

 

「R359(サンゴク)」を飲んでみた

そんな「R359(サンゴク)」の最新ヴィンテージ、2023が発売された。2023年は北陸最古のワイナリーが誇る100年近い歴史のなかで、実に29年ぶりという気象条件に恵まれたグレートヴィンテージだったそう。

素晴らしい年だったからこその面白いエピソードを教えてもらった。このワイン、もともとはロゼ用にひと房につける粒の数を多く栽培していたぶどうで造られているそうだ。「もしはじめから赤用として摘粒(ぶどうの粒を間引く作業)していたら、濃くなりすぎて熟成に3年以上要する赤ワインになっていたと思います。粒を多くつけていたからこそ、そこまで濃くならずに、ほどよい深みもあるサンゴクらしい赤ワインになりました」と山藤智子社長。赤用よりも粒を多く残すロゼ用の摘粒を行なっていたことが功を奏し、絶妙なバランスのワインができあがったのだ。

そんな話を聞いたら飲んでみずにはいられない。以前ラベルが貼られていない瓶熟成中のものを送っていただいていたので、今回のリリースを機に開栓することとした。(中身は発売中のものと同じです)

グラスに注いでみると、もともとロゼにしようと思っていたとは思えない深みのあるガーネット色。ホーライサンワイナリーのマスカット・ベーリーAといえば、「いつもの(赤)」や「新酒」などの名物ワインが多々あるが、それらに比べても少し落ち着いた深みのある色合いに感じられる。

グラスからは落ち着いたベリーの香りが漂ってくる。これはホーライサンワイナリーの、あるいは北陸のマスカット・ベーリーAの特徴と言えると思うのだが、この品種にありがちなイチゴキャンディのような香りはほとんどせず、深い森のなか、木漏れ日の差し込むなかに群生する野いちごやハーブ、そういった素朴だが印象的な香りが漂う。

飲んでみると、決して濃いというわけではなく、酸味・渋み・果実味のバランスがとれていて、味わいに複雑さ・深みが感じられる。山藤智子社長に話を聞くと、「もしロゼとして仕込んでいたら、強くなりすぎてまだ飲めなかったかも」とのこと。赤にしたからこそ、今のタイミングで飲みごろを迎えているようだ。

29年ぶりのグレートヴィンテージという特別なワインなのに、飲んでみるとすごく親しみやすくて、肩肘を張らずに楽しめる。その在り方は、100年の歴史があるのにすごく親しみやすくて、どんな人でもウェルカム! と招き入れるホーライサンワイナリーの在り方に、どこか近いような気もしてくる。

「R359(サンゴク)2023」、国道359号線を走ることがあれば、ぜひホーライサンワイナリーに寄り道して、入手してみてはいかがだろうか。

ワインニューリリースのお知らせ! 「R359(サンゴク) 2023」